月曜日

涙 (平成編)

  

ある市のある店舗での出来事。

その店舗周辺は市内でも有名な在所

(被差別部落:ここではよく使われる)

があり、いわゆる客筋が悪く、あまり環境の良い

ところではなかった。店内ではいつも揉め事が多く、

従業員が殴打されるなど乱暴な客も多く、

管理面では頭の痛い店舗だった。

そのため人事異動の際もこの店舗には

行きたくないなど敬遠されるので配置が偏ってしまう。

 

相手が暴力団関係者なら

こちらもいわゆる筋を通して話が出来るのだが、

ここの住民はそうではなく、

普段は個々人で問題を起こすが、いざ、

となると変な連帯感が生まれ、大事になることもあった。

新任の店長が通路を歩くだけで、足を引っかけたり、

後ろからパチンコ玉を投げつけてきたりする。

当然、注意をし、言い争いが始まり、もめる。

 

すぐ近所に交番所があるのだが、

電話をかけてもすぐに来ない。

それなりの応援の人数が集まるまで警察官も

単独では来ない。怖いのだ。

 

ここの店長になるというのは、

社内でも「島流し」のようなもので、

とことんやるか、問題のある不良客に迎合するか。

 

「こんなところに店をつくったほうが悪い」

と常連客。

 

ある時、夜空を見上げながら、

涙を浮かべていた店長の姿が忘れられない。





写真素材 cg.foto

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