土曜日

吹き溜まり(昭和編)

 

私が最初に入社した会社では

無料で貸与していた制服は、四季を問わず長袖だった。


従業員の多くが若いときに腕や背中にいたずら書きを

している者が多く、要は刺青ですね。


昔は、本職の方は堅気になると、人前でさらすのは

恥ずかしいもの、という意識が強く、皆さん普段でも

隠していました。

 

会社もさすがに、お客さんに見られないよう、夏でも

長袖を着せ、注意を促していたが、エンコ詰は

(指の欠損)は仕方なく、自然にさらしていました。

 

多い人は3~4本、飛ばしている人もいて、

皆で温泉地に行けば、背中から足首、手首までびっしり

墨が入っている人もいて壮観でした。


特に私がいた系列は、常務がその筋の出身者で

「足を洗って堅気に」

で頼ってくる人が年に数人おり、中間の役職者から

店長まで昇格するケースもあり、

皆さん「まじめ」に勤められていました。

 

ちなみに昔は近所の銭湯に行っても、

普通に一緒に入っていましたね。

 

今から当時の業界のことを振り返れば、

社会からはみ出した者や、落ちこぼれ、駆け落ち、

借金苦、平凡な仕事に適応できない者や様々な事情で

ドロップアウトした人間の吹き溜まりにパチンコ店が

なっていて、いまでこそ、はみ出したら住む家を失い、

路頭に迷うケースでも、昔のパチンコ店ではすべて

受け入れ、本人さえまじめに仕事をすれば、

人生をリセットできる、普通に生きていける、

そんなよき場所だったのだと思う。



写真素材 pro.foto

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の投稿