土曜日

ゴト 2 (平成編)


基盤を1台ずつ念入りにチェックしていくと、

同じ記号で番号も記載されているが、

文字が通常とはちょっと違う。

字体が少し違う。

色が若干薄い。

メーカーに確認すると、やはりすり替えられていた。


すり替えのあった遊技台を営業中に監視すると、

普段毎日来ている

常連の近所のお母さんが打っている。

「打ち子」だったのだ。

ある日ホール外で声を掛けられアルバイト感覚でやっていたのだ。


従業員間でも疑心暗鬼だ。

ホール主任が案内役に引き込まれている場合もあり、

店長自身が染まっていれば、

被害金額が大きくならなければ中々発覚しない。

その為経営者は、利益調整をする「釘師」「設定師」、

ホールを管理する「店長・MG」など役割を分業させ、

また、管理者として親族を配置し、

出来得る限り不正防止に神経を使った。

 

私がこの業界に入ったのもそういうきっかけだ。

叔父が経営する店舗に住込みで勤務し、

夜間は大型金庫が設置してある部屋のベッドで寝た。

最終の金銭チェックは私が担当し、

誤差が出れば合うまで何度も数え直した。




写真素材 pro.foto

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の投稿