土曜日

サマーシーズン (昭和編)

 以前にも紹介したが、

勤務先が海に近く毎年夏になると、

関西、中京方面から海水浴で賑わう

店舗にいたときだった。

 

そこに夏季限定で2か月間だけ、

アルバイトに来る男性がいた。

年のころは40才くらいで、

聞くと、夏場はここで、

休憩時間は海で素潜りを楽しみ、

冬の期間は北海道でウィンタースポーツを楽しむのだという。

 

私が在籍した5年間は毎年。

それ以前からも来ており、恒例だったようだ。

冬が北海道なら、夏は沖縄だと思うが、

やはり働く環境が大事だったようで、

店長や店の賄い(食事)、店の雰囲気などが気に入り、

毎年の夏時期だけ働きに来ていた。

 

20代の若いときから同様の生活で、

身体も若く、性格も明るく、

毎年この時期になると古株の社員は

彼が来るのを楽しみにしていたほどだ。

 

私も休憩時間に一緒に彼のお気に入りスポットへ。

泳ぎがあまり得意でないので

岩場からすこし沖沿いに

ゴムボートを海底につないでもらい

ボートの綱をたぐって遊んでいた。

27才くらいのころだ。

 

「人生にはいろいろな生き方があり

彼のような生活もいいな」

とはその時はつゆにも思わず、

自身は一般の職種とは

かなり外れた特殊な環境にいながら

慣習にとらわれ、現状から飛び出す勇気もなく、

流されるままに時間を過ごしていた。

 

しかし、私の人生もまた、

他人から見たら特殊であり、

簡単に平凡な、退屈な人生でもなく

反社会的な環境の中で揉まれながら

年を重ねてきたわけだ。

あの時の「彼」は今何をしているのだろう。

今も夏は海、冬は雪山、で過ごしているのだろうか。

考えるだけで疲れるね。

私にはやっぱり無理だ。




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