「裏もの」
と聞くとビデオやビニ本を想像するかもしれないが
パチスロでは不正(改造)機のことだ。
私が業界に入った1986年(昭和61年)は
パチスロ1号機の時代で新風営法が施行された
ばかりの頃だ。
アメリカーナXX(ユニバーサル)、
パルサーXX(日活)や翌年「ニューペガサス」
(パル工業)が発売され、ひと時沸いた。
1回交換の千円買い。1回かかるたび千円分コインを
購入追加してもらう、という今なら信じられない
暴力的な営業だった。
それでも「ニューペガ」は吸い込み方式の連チャン機で
人気も高かった。
閉店後、事務所の奥ではハンダ付けの
臭いが漂ってくる。
「かばん屋」が基板を丁寧に開け、
ドライヤーで封印シールをはがしている。
ロム交換だ。
「かばん屋」とはこのような改造ロムを
仕込む闇業者だ。
どのような動きになるかは現場には
知らされていない。
オーナーのみぞ知る、だ。
毎夜、打ち込み機をつなぎ、
朝一番にボーナスがかかるように仕込む。
いわゆる「モーニング」だ。
台数が多いと明け方までかかる時がある。
当時はあの手この手で
罪の意識なく工夫した。
企業のコンプライアンスという
言葉もなかったが
でも閉店後、
隠れて行っていたのだから、
後ろめたさはあったんだろうね。

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