火曜日

嘘 (昭和)


飛び込みで入社した夫婦社員でいい人材が

いた。業界歴も10年ほどあり、他社でも

役職者(ホール主任)の経歴で、体躯は小さいが、

物言いは達者で、押しが効いた。


1年後、マネージャー昇格となり、釘調整も

担当するようになった。

私も、彼とは毎日のように接し、信頼していた。

田舎のホールでは、職住一緒なので、

そりが合わないと仕事ができない。


3年ほど経過して、オーナーの信頼も厚くなり、

社内の信望もでき、グループ全体の金銭管理や、

機械購入の選定も任せられるようになった。

 

私はその時分より、訳あって会社を

退職することになった。

 

その後数年たって、彼らの話を聞くと、

突然、トンコ(逃走)したと。

警察から指名手配が、かかっていたらしい。

近所の銀行に、

彼名義で3000万円の預貯金が。

しかし、その名義は本名ではなかった。

偽名で口座を作っていたようだ。

逃走発覚後、身元確認が出来ないので、

口座は手つかずになっている。

 

毎日、社用車を運転し、他店統計や

買い物にも行っていたが、免許を所持して

いなかった。

会社の被害は表では明らかにしていないが、

おそらく、裏金を作っていたのだろう。

 

人間というのはわからないものだ。

彼らの情報がすべて嘘で塗り固められて

いたとは。

一緒に飯を食い、酒も飲んだ。

朝まで話をしたこともあった。


優れた俳優だったということか。




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