昭和の時代では、パチンコ店の新規開店(処女開店)は、
大きな赤字を打つのは普通だった。
私がいた系列店では、土地、建物、設備、機械代、
店の経費負担などと共に、初期の分(ぶ)打ち代金として、
標準店なら1千万円程度を準備していた。
社長が特に、気合が入った案件なら
初期投資として、1億の別予算の時もあった。
開店から、予算枠のお金が無くなるまで
高割数で還元していく。
売上が大きいほど赤字金も大きくなる。
初日、2日目、3日目などは、まだ時間打ちが多く、
営業時間も短いので、出玉が洩れても売上が少なく
赤字も抑制される。
しかし、4日目以降、平常営業に近づいてくれば、
売上金も大きくなり、出た割数に比例して
赤字も大きくなる。
当時の平均的な交換率はパチンコ40~43個交換、
パチスロ7~8枚交換が多く、
40個、7枚交換なら、
損益分岐は160%、140%になる。
昭和の時代はパチンコの設置比率が9割だったので、
パチンコだけでシュミレーションすると、
300台程度の平均的な店舗なら
営業時間 売上 割数 赤字金
初日 3時間 150万 250% 843.750
2日目 3時間 180万 200% 450.000
3日目 6時間 350万 200% 875.000
4日目 8時間 450万 200% 1.125.000
5日目 12時間 1000万 200% 2.500.000
上記のペースで、5日間で持出し(赤字)は約580万円になる。
平常営業から割数を少し抑えていかないと、
1千万円の分(ぶ)打ち代も、あっという間になくなる。
営業時間の延長に合わせて、ゲージ(釘の幅)を、
全台調整し、一気に合わせていく。
くぎ師の「勘と腕」の見せ所だ。
ここで閉めすぎると一気に客が離れるかもしれない。
後年、パチプロが増えすぎて意図的に釘を閉めて、
集まった客を飛ばす店もあったが、一般客も一緒に
消失する店も多い。
160%の損益分岐点に早めに合わせ、
そこから遊技客の様子を伺いながら、
週末の客数の多い日に合わせて波をつけていく。
店舗の適正な割数をどれくらいに設定するか、
その店の力量がわかってくる。
割を打っても客数が伸びない店。
出さなくても客が減らない店。
実際開けてみないと、判らない店舗も多かったね。
追記:業界では出玉を多く出すことを「ぶを打つ」というけど
一般ではどうなのだろう。「ぶ」は「分」でよいのだろうか。
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