火曜日

1969年

 

私の8歳の記憶だ。

母の実家は神戸三宮の新聞会館という

ビルの裏手だった。

ケミカルシューズの工場、販売が

密集する集落だ。

人が3人並べばいっぱいの狭く

足元がゴツゴツの通路を挟んで、

同じような長屋がずらっと並んでいた。

トイレは共同だった記憶がある。

いつも酸っぱい臭いがしていた。

 

実家の二階に上がる階段は

「はしご階段」だった。

一階は入り口に土間があり、

そこにはダンボールに

詰められた商品が積まれ、奥には

4畳半くらいの部屋があって、

白黒のブラウン管テレビがあった。

テレビを見に来た近所のねえちゃん達が

絶叫している。

GS(グループサウンズ)全盛の時代だ。

夢中で「テンプターズ」を観ている。

 

ある日、祖父が亡くなった。

その日の夜から、どこからかやって来た

野良猫が住み着いた。

 

その後、ここは1995年の

阪神淡路大震災ですべて消滅した。





写真素材 pro.foto

0 件のコメント:

コメントを投稿

人気の投稿