木曜日

スナック


「主任、終わったら皆で行くでぇ」

閉店後、近所の飲み屋に遊びに行くクセが

ついてしまった。

閉店作業を慌ただしく片付ける。

釘の調整は差し替えで4~5台だ。

市内の繁華街まで車で10分程度だ。

表通りの商店街の一筋裏の通りが、

この町の飲み屋街だ。

ここは小さな町だが、国の大きな産業施設が

あるので、定期的に全国から労働者が集まってくる。

飲み屋の軒数もけっこうあり、平日の夜でも

賑わっている。

副主任の「せいさん」は焼肉屋のママに入れ込んでいるので

毎回、そこでホルモンを食べてから合流する。

深夜に食べる焼き肉やラーメンの美味いこと。たまらない。

 

私と主任はボトルをいれているスナックへ直行だ。

ショットグラスでウイスキーを一気に飲み、煙草をふかす。

2,3杯飲むと、もういい気分だ。ここのママはまだ

学生のアルバイトのような幼い感じで、先日映画に一緒に

行って同伴したが、観た映画が今も記憶に残らないほど

面白くない映画だった。

 

主任は40才で、背は小さいが、がっしりしている

気のいい東北出身のオジサンだ。

公私ともに彼には助けてもらっている。(朝、起してくれる)

 

ほかに班長、最近入社したKさん。

みなで「わいわい」騒ぎながら、カラオケを歌い、飲んで、

眠たくなったら来た車で帰る。

 

この町であまり腰が長くなると、どこでパチンコの店の客と

鉢合わせするか、わからない。

客の負けた愚痴も聞きたくないし、良からぬ誘いも受けたくない。

あっという間に夜は更けていく。早く帰ろう。

簡単で、短時間で、消費して、いい客だ。




写真素材 pro.foto

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