金曜日

誕生日


「本日は、当店店長の誕生日であります!」

「よって、今から1台ずつ、釘を開けていきます!」

 

店内では軍艦マーチが鳴り響き、当店主任が高らかに

宣言したものだから、順番に台鍵を開け、続いて右手に

ハンマー、左手に11.12のゲージ棒を持って、

慎重に淡々と叩いていく。


対象機種は「スーパーコンビ」だ。


店長の誕生日だからって、釘を開けることはないが、

要は「イベント」の一環として景気づけで

「開店〇周年記念」「この機種設置○○日記念」とか、

なんでも勝手に銘打って呼び込みマイクで

煽っていただけだ。

 

いっきにその島に客が集まって、

いっきにその列の売上が上がる。


客の目の前で叩くので、

「あ、ごめん。開けすぎた」と

言って閉め直すわけにはいかない。


11.04~11.08が通常のゲージ幅で、

11.12なら全台15時開店のゲージ幅なので、

予定割数は20割(200%)だ。

当然、赤字収支になる。

 

「しまった。開けすぎた!」

と内心で舌打ちするが、どうもしようもない。


「スーパーコンビ」は入賞しても回転体の入賞口は

/3の確率だったので、

(台の勾配を変え、実質1/5~1/6になっていた)

飛び込みが少々甘くなっても、外れも多く、

まだ扱いやすい。


当時も今も遊技客の前で調整をすることは

認められないが、「瞬間芸」なので、現行犯逮捕はない。

 

先ほどまで2、3千円に1回入るくらいなのに、

調整以降、千円に1,2回飛び込むので、客は熱くなる。

 

しかし、これは禁じ手なので、あまりやり過ぎると、

目の前で開けるまで客が打たなくのは、いうまでもない。




写真素材 cg.foto

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