業界で長くいると、自然と物の捉え方や
思考方法は単純に二元論で行っていた。
「良いか」「悪いか」「やるか」「やらないか」
中途半端がいけない。迷ってしまう。
行儀の悪い客がいれば、ここまでは良いが、
あともう少しはみ出れば、注意しよう。
今日は仕方ない、明日は。になると際限がなくなる。
決めたことは、今、きっちりと線引きを決める。
OKかNOか、だけだ。
しかし、パチンコの計数の答え合わせは、
「どんぶり勘定」でなければ、神経が病んでしまう。
最初の頃は毎日の結果に、一喜一憂していた。
特に現金機が主流の時代は、デジタルフィーバーの
比率も少なく、釘で割を合わせに行ける機種が多く、
明日の割数予定は135~140%。5分くらいの幅で、
「言うことを聞いて」くれた。
また、稼働が良く、売り上げの多いホールは、
回転数も安定するし、確率の収束もデータ通りに
あがり、合わせやすい。
しかし、今や稼働も売上もピーク時の半分以下で、
大半がデジタルフィーバー主流の時代。
明日の売上予想は、だいたい、これくらい。
明日の割数の予定は、だいたい、これくらい。
入金予定はだいたい、これくらい。
釘の調整や、設定調整をいくらシュミレーション通りに
厳密にやっても、やはり水商売だ。
どうなるかわからい。
まあ大体でも、どうにかしなければならない。月半ばで、
どうにもならない数字が出てしまうと、店長が経験者でも
早めに手を打たなければ、気の短いオーナーは許してくれないので、
途中で営業部が介在し、店長交代となる。
昔は店の1軒2軒潰さないと一人前になれない、なんて
ほざいていたけど、潰される前に交代だ。
そうやって、何人もの店長候補が消えていった。
人材育成と言いながら、会社は利益を減らしたくない。
「今日の割数の失敗(入金不足)は
二度と帰ってこない(上下合わせて大損)」
準大手のチェーン店にいたとき、社長からよく叱責された。
当然、最低ラインとして、月単位で予定が立てなければ、
収支予想も立たず、商売が成り立たないのは言うまでもない。
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