火曜日

姑息な手段

 

主任、今日もあのシマ、割が高いなあ」

「梅雨に入ってから湿気が多いね」

「影響してるんじゃないですか」

「ヒーター、入れまひょか?」

 

この店は、ホルコンはダイコク電機で、

ライン(島設備)は竹屋だ。

シマの中には湿気取りで、ヒーターを配置していた。

 

この店舗の立地は、もとは田んぼだった。

梅雨時期は、湿気で島中のトユ上の遊技玉が

ダンゴになって玉が流れないほど、影響があった。

 

パチンコ遊技機のセル盤は数枚合わせの合板だ。

湿度が高くなれば、玉が絡みやすく釘が甘くなる。

ヒーターで熱くなると、玉が弾きやすく、

通常は辛くなる。

 

本来は、日々の釘調整をきっちりやっておけば、

営業中に右往左往することもない。

 

「主任、ヒーター効いてきたで。割が下がって来たわ」

効果てきめんだ。

 

しかし、ヒーターを入れると上から温められた玉が

台間の玉貸機からも出てくる。


「あちち!玉が熱くて、さわれんぞ」

「どないなっとんじゃ、玉も入らんぞ」

 客が騒ぎ出した。


温度調整がバカになっていたようで、

「ほんまや、熱くて玉が持てんぞ、主任」

それ以降、遊技玉が温められて熱いときは、

みなさん敬遠され、玉が弾きやすいのが、

バレちゃいました。




写真素材 cg.foto

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