金曜日

つながり


年を取って、会社勤めもなくなり、行動範囲がだんだんと

狭くなってくると、他人とのかかわりや、距離が開いてくる。

 

もともと夫婦そろって人づきあいがあまりなく、ましてや

私のほうは、金銭が絡む業種のため、意図的に他人とは

警戒感を持って距離を取っていた時期も多く、生来の性格

もあって個人的に仲の良い友人も出来なかった。

 

今では家族だけが唯一の人との「つながり」だ。

 

困るのは、他人との会話が減ったことで、従来の口下手が

さらに滑舌が悪くなり、会話の転結がまとまらず、同じ話を

繰り返すような自覚がある。

 

妻のほうは朝から晩まで独り言で、まるで誰かと会話している

ように喋っている。彼女の韓国に住む母親も同様で、以前何度か

訪問した時には、方言の強い言葉で(私には理解できず)、

独白劇を繰り返していた。

ネットをみると統合失調症の症状でもあるが、遺伝的な

(習慣的な)事も大きいのだろう。

 

「そんなに喋っても疲れないの?」

「ぜんぜん」

 

私も真似て喋ってみるが、独りで何を話せばいいのか、難しい。

 

訓練することで、饒舌にもなるだろうが、

「口は禍の元」、「口から出まかせ」、「口八丁手八丁」と口から

発するトラブルも含め、SNSなどの映像や、ちょっとした小文が

大きな波紋を起こす場合もある。

 

「男は黙ってサッポロビール」

昭和40年代にコマーシャルで流行ったが、寡黙で、無駄口を

きかない男は、格好は良いが、扱いやすく、利用されやすい。

 

昭和・平成のブラック企業で長年過ごしてきた身としては、

「黙ってサッポロビール」を飲まされ続けて人生を費やして

来たようだ。

 

今は、「男は黙って発泡酒」。  せつないねぇ。




写真素材 food.foto

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