金曜日

争い④


弁護士を入れて裁判所に出頭し、司法上の争いまで経験するのは

一般的にはあまりないだろうね。私も50才になるまで、自身が

法廷に立ち、証言するなど夢にも思わなかった。

 

そもそも私はこの一家とは全くの他人だ。雇用された労働者だ。

肩書は「専務取締役」だったが、役員として登記されている

わけでもなく、名ばかりの肩書なのだ。役員報酬ではなく、

給与所得で申告しており、息子たちの肩書が上がるに合わせて

任命されていただけだ。

 

数年間にわたって親族間の争いに巻き込まれたことは今思うと

親兄弟間で分裂し、会社を分けた時点で辞めるべきだった。

 

次男は私が入社した時から、ずっと私に依存し、父親や兄との

折衝役に私を挟み、親兄弟と反目してきた。

 

「あんたがおらんかったら、弟は何もできん、あかんたれや」

「会社が分かれる羽目になったのは、あんたのせいや」

今は亡き会長(父)や長男から言われたことは忘れられない。

 

20年もお世話になった会社に誰にも連絡できず、この20年の

キャリアは無かったことになってしまったようだ。

寂しい限りだ。




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