木曜日

コンクリート

 

昭和の時代は、景品交換所もパチンコ店が経営していて、

景品を直接、ホールへ運搬していた店舗もあった。

人手不足の折には、ホール社員が代わりに小屋に入り、

景品交換もしていたのだから、まさに「自家買い」だ。

 

風適法では、現金又は有価証券を賞品として

提供することは禁止だ。

それなのに、大阪から派生した「三店方式」を

原則として、いまだにグレイゾーンの位置づけで

景品の現金化を容認している。

 

「ホール」は景品(特殊景品)を客に払い出す。

客は特殊景品を「古物商(景品買取業者)」で現金に交換。

特殊景品は「賞品流通業者」を通じてホールに卸される。

 

どんな形であれ「換金」が禁止になれば、

パチンコ店は全滅だ。

グレイな法基準の上で何十兆円規模の産業が

成り立っているのだから、不思議な国だ。


「砂上の楼閣」ともいえるが、砂にセメントを

混じれば、コンクリートになって固くなる。


業界のいままでの努力や実績が混ざって、

未来には、どのように固まってくるのだろうか。




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釘折れ

 

稼働の良い店は、釘も遊技玉が多くぶつかるので

劣化し、折れてしまう。風車も変形し、いびつになる。

高稼働、人気台の証だ。

 

現在は、法律順守で、釘が折れた遊技台は止める。

釘を打ち替えるため、メーカーから変更後の新しい釘と

変更承認書が送られて、所轄の検査を受け、承認を

もらえるまでは動かせない。

 

「遊技機の性能」に影響を及ばさないような

軽微な変更は、届け出だけで承認のいらない

「変更届」で済む。

ランプ交換や上皿下皿、ハンドルが壊れた場合など。

変更しましたよ、だけだ。

 

だが、「釘」「風車」「役物」などは

「変更承認」が要る。検査が要る。


2000年くらいまでは、警察も目が届かない

ところも多く、結構、未届けで勝手に交換していた。

交換用の新しい真鍮釘はピカピカなので、普段から

手垢をつけ、水につけて錆をつけ、装った。

 

釘折れは、前面から、くぎ抜きポンチで後ろへ

たたき出し、遊技盤の裏から折れた釘を引き抜き、

穴埋めに、マッチの軸やハンダ、輪ゴムなどを詰め、

新しい釘を打ち直す。

器用不器用で仕上がり具合が違い、

下手なものは、「ヘソ」の左右の釘の長さが

違ったりして、恥ずかしい。

 

遊技盤の裏を見れば、釘を交換したことは、一目瞭然だ。

警察がその気になれば、未届けの釘修復は、すぐ判明する。

 

まあ、普段の釘調整も、厳密には勝手に変更しているので

法律違反だが、突き詰めれば、

パチンコ店は営業できなくなってしまう。

「グレイゾーン」ってことだね。




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アレジン

 

私が大阪のパチンコ店へ1年ぶりに業界復帰したとき、

主力機だったのが、藤商事の「アレジン」だ。

日本全国、どこに行っても設置されていた。

朝一番から並び客が、開店と同時に取り合いになる。

まさに「鉄火場」だ。

 

電源を立ち上げ、8台に1台が天国モードの確率が高く、

朝から一気に連チャンに入ることもある。

 

打ち出した玉が、左肩の始動チェッカーを通過する。

「ピュウイッ」、「ピュウイッ」と

連呼していけば、期待が高まる。

 

始動チェッカーは通過するだけで、賞球(玉の戻り)がない。

ベースが低いので千円札がどんどん入っていくが、

デジタルはどんどん回っていくので、離れられない。

 

常連のおかあさんの話では、

「ピュウイッ」と「ピュウイッ」と鳴く音が、

頭から離れず、朝から居ても立っても居られない。

 

オール16で1回の出玉は2000個。

奇数目が揃えば、すぐ右打ちで、V入賞で

大当たりだが、Vに入らずパンクも多かった。

だが天国モードが続けば10連、20連と続く。

 

当時は、フィーバー機は、ラッキーナンバー制へ

移行していたが、それでも玉の交換は早く、

完全無定量の機種は「アレジン」だけだった。

 

私の担当店舗では、釘調整の割数配分は、

売上の上がるフィーバー機や権利物、一発機に

割数を乗せ(出玉を多くし)、アレジンで絞って、

全体の出玉率を合わせていた。

 

アレジン以外の機種は、回収率10%~15%だが、

アレジンは40%前後の抜き(回収)率だった。

 

遊技客が、それでも追いかけてくる名機だった。

 

「ピュウイッ」、「ピュウイッ」、「ピュウイッ」と。

ああ、そろそろ、かかりそうだ。

「やめられない」。




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