金曜日

シャッターチャンス

 

14才の冬。大阪の箕面に友人数名と遊びに行った。

「猿」と「滝」で有名なところだ。

ここの猿は一時期、悪名高く、ガラが悪かった。

観光客の荷物を手から無理やり強奪し、山へ逃げ帰る。

車のボンネットにも平気でのっかってくる。

人間に慣れすぎて、舐めていたのかもしれない。

今は、保護の観点から観光地に出てこないように

餌場を山の中へ誘導し、姿を見せないようだ。

 

そんな山へ友人たちと分け入り、

ちょっとした山登りを楽しんでいた。

私は草地が生い茂った急峻な坂を先に登り、

フィルム式の簡易カメラで

友人たちを撮ろうと構えていた。

 

下から叫び声が。

思わずその方向へカメラを向け、シャッターを押した。

 

友人の一人が手を放し、崖地から転落してしまった。

草地が生い茂っていても20メートルほどの高さだ。

 

「大変だ」「119番だ」

 

生まれて初めて「救急車」に同乗し、病院へ。

大きな外傷はなかったが、保護者も駆けつけ、

レントゲンも撮り、大事になってしまった。

 

後日、彼はいつものように

「ひょうきん」のままで、無事、登校してきた。

 

あの時撮ったフィルムを現像すると、彼が

両手を広げ、目を見開き、空中に浮いて、

落ちて行く瞬間を捉えていた。

 

まさに「息をのむ瞬間」だった。




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自省


田舎のパチンコ店をやめ、

一時、ホールから離れたことがあった。

パチンコ備品の販売、営業なので、

ほぼ同業種の仕事だ。昼は防犯器具の営業、

夜間は注文のあった器具の取り付けをする。

 

大阪府下の店舗を地図に落とし、

飛び込みで営業をかけていく。

営業で回るとその会社、店舗の方針や体質が

良くわかる。初めから全く相手にされないのは

仕方のないことだが、名刺、パンフを手渡すと、

目の前でゴミ箱に投げ込む店長や、

忙しいと逆ギレしてくる役職者もあり、

けんもほろろ、取り付く島もない。


第三者の目でホールを巡回していると、

遊技ガラスの閉め忘れや、

清掃面、管理面での粗が結構見えてくる。

 

 

中には応対が丁寧で、愛想よく本社へ

取り次いでくれるホールは、やはり店の

雰囲気も良く、きれいに清掃されている。

後年、このホールは業績を伸ばし、

店舗数も増えていった。

 

 

ホールでの業者に対する姿勢を

自省し、振り返ってみる。

やはり、わが業界は総じて

「ガラが悪かった」ね。


名刺をゴミ箱に投げられた店は、

当時は20数軒あったが、

令和の今は、ほぼ廃業し、数軒しか残っていない。




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親睦旅行

 

景気が良かったころは、業界内では、

いろいろな形で親睦旅行があった。

 

あるドリンクメーカーは毎年、九州へ

ゴルフコンペと観光旅行を開催し、

Aタイプで人気のスロットメーカーのゴルフ

コンペは商品も豪華で、優勝は外国車だった。

設備業者も個々でゴルコンペに豪華賞品もあり、

各遊技組合からも毎年のように観光旅行に行っていた。

 

私も出不精ながら、何度かご招待をいただいた。

ある年の組合の韓国釜山の2泊3日旅行には、

家族もOKだったので、1家4名で参加もさせて頂いた。


系列店で5店舗あれば、5名参加できるので、

事務員や、班長などの中間職もみな楽しく参加

していた。


もちろん費用は全額、組合、業者持ちだ。

「こづかい」を渡す気前の良いオーナーもいた。

 

みんな儲かって、世の中の景気も良かったのだね。

 

平成以降に生まれた子供たちや、若い世代にも

経験させてあげたいね。


生まれてからずっと景気が悪いのだから。




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