月曜日

「生きる」2


私の母は本年88才。妻の母は90才になる。

二人とも足腰は弱ってはいるが、まだ呆けずに口は

達者なようだ。

 

私は母とはもう1年ほど会っていない。

妻の母とは2019年の年末に、コロナ騒動が本格化

する前に次女夫婦を伴って渡韓したので、3年前になる。

 

親族の上の世代では、男性は母方の12才上の若いおじが

存命するのみで、みなさん天に召された。

歳月があっという間に過ぎて行くのが不思議な感覚だ。

気付けば・・・だ。

 

今まで別れがたくさんあり、これからも近しい人にも同様に

その時が来るのは受け入れざるを得ないが、平静は失われない

が、なんとも微妙なざわめきを感じるこの頃だ。

 

私は凡庸に生きてきた人生だが、あまり後悔はない。

 

あの時こうすれば良かった、ああ、もっと違う選択があった

はずだ、などは、平平凡凡に生き、岐路に立たされた土壇場に

布石を打つ用心深さや決断もなく、その度々に流されて現在に

たどり着いた私には、今はなるようにしかならなかった現実が

あるからだ。

 

と、云いつつ、「生きる」のまだまだ続きがありそうだ。

今まで通り、「生きる」ことは難しくない。なるようになる。

私が幼少の頃、祖父母に手を撫でられたように、私も孫たちの

手を愛しく撫でながら、彼らにぬくもりを残していこう。




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木曜日

運転手1


平日の朝、障害者施設の送迎のアルバイトに行きだした。

60の齢を過ぎる頃より朝の目覚めが早く、ちょっと早く

寝てしまうと、新聞配達の時間になるや頃から目が覚めて

しまい、午前中に時間を持て余していた。

 

幸いハローワークの求人で自宅からも近く、時間の都合も

良かったので、面接に伺い、採用していただいた。

 

生活介護施設を出発し、35キロほどの道順を順次周り

2時間ほどで施設に連れて帰ってくるドライバーだ。

 

まだ2週間足らずだが、コースの道順は覚えた。

グーグルマップの画像で実際のコースを周り、休日にも

一度自家用車で巡回して覚えた。

 

仕事に関しては、私は真面目なのだ。

 

「○○さん、おはよう」

「おはよう」

 

「○○さん、おはよう」

「おはよう」

 

「○○さん、おはよう」

「おはよう」

 

「○○さん、おはよう」

「・・・」

 

「○○さん、おはよう」

「おはよう」

 

「○○さん、おはよう」

「・・・もう、ええ」

「おはよう」

 

「あ~!う~!」  「イヤー!」  「ヒエ~」 

 

「ははははは」   「にいーやあー」

 

時間はうららかに過ぎて行く。

 

十分に安全運転を心掛け、平常心で続けよう。




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火曜日

あま


今日は朝から雨だ。

自転車での通勤のため、カッパを着て向かう。

いつもは月極の自転車置場は一杯で、横着に置いている

ママチャリを幅寄せして場所を確保するが、朝からの雨

で空いている。前かごに濡れたカッパをいれ、鍵をかける。

 

学生時代は自転車の盗難やイタズラが良くあったが、この

場所では聞かない。

街灯や建物の軒先には点々と防犯カメラが見え、抑止に

なっているようだ。

 

私が生まれ育ったのは尼崎だが、北から阪急電車、JR

阪神電車の東西に走る社の電鉄があり、南へ行くほど

環境が悪い(柄がよろしくない)、阪神電鉄「尼崎センター

プール前」の近くの産婦人科で生まれた。

 

1960~70年代のこの場所は経済成長の真っただ中で、

工場から出る煙と車の排気ガスで、自転車で周回すると、

白いシャツが黒ずみ、目が痛くなるような環境だった。

「公害」だ。

 

新車のチャリンコを、ちょっと目を離していると、サドルだけ

持ち帰られ、自転車好きの友人は軽合金のペダルだけ外され、

むなしく押して帰ったこともあった。

自転車の盗難は手軽で、すぐに持ち去られ、駅前に放置される。

 

小学5年生の時、「イズミヤ」で友人たちと歩いていると、

トイレに連れ込まれて、中学生にカツアゲされた。

カッターナイフを手に持ち、カチカチと鳴らしながら

ポケットをまさぐられ、持ち金全部を盗られた。

私は目つきが反抗的だと左顎をげんこつで殴られ、口内が

切れ、血の味がしてくやしかった。

 

人が雑多で、大気汚染、車の騒音、排気ガス、泥だらけの河川、

近所に暴力団事務所、昼から酒臭いトラキチに意味もなく叫ぶ

オヤジ達。

 

環境が悪いと、人心が荒れるのだろうね。

大人が乱れると、子どもたちも荒れる。

 

そう思うと、現在はどうなのだろう。

住環境は実際に住んでみないと判らないからね。

 

中学時代、旅行先の東北地方で、補導された知人が

交番所で住所を聞かれ、

 

「あまや! あま!」と、さもなんと叫んだが、

 

関西地区では悪名の地名だが、東北の警察官には

意味不明で、笑われたようだ。

 

バカだねえ。成人に未だならず、仕方がないね。



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