土曜日


K市で大型店舗のリニューアルを担当していたころ

身体の調子がおかしかった。どうも胃部周辺が重たい。

たまに突き刺すような痛みもある。

 

店舗の道を挟んだ反対側に「餃子の王将」があった。

閉店後、役職者を連れてよく食べに行った。

夜中の0時ごろから、みな腹いっぱい食べた。

パチンコで勝った日などは「焼き肉」を散財した。

 

夜中にたらふく食べるので、胃が重い。

胃薬を飲みながら、「胃下垂では」と仮眠室で逆立ちする。

そうやって胡麻化していても、なかなか体調は改善されない。

それどころか、明け方近くに帰宅し、10時には出勤していたので

通常でも4~5時間しかない睡眠も、寝むれなくなった。

 

とにかく「痛い」「苦しい」「うなされる」ような、

状態が3日間ほど続き、ついに出社前に我慢できずに

スーツを着たまま、目についた病院に飛び込んだ。

 

エコーで見ると大きな胆石が見える。

「急性胆嚢炎」

その場で、緊急入院ということになった。


結果、胆石、胆のうを取り、退院まで2週間ほどかかった。

その会社には8年間在籍したが、その間健康診断は一度も受けず。

この顛末は「机がない」でも書いたが、会社も社員も当たり前のように

自らの命を「ぞんざい」に扱っていた。

「悪夢を見る」3日間で体重が5キロ落ちていた。

その1年後、この会社を辞めることになるが、

その会社の当時の社長は10年前に他界し、当時22店舗

あった店舗は令和の今、7店舗になっている。



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金曜日

誕生日


「本日は、当店店長の誕生日であります!」

「よって、今から1台ずつ、釘を開けていきます!」

 

店内では軍艦マーチが鳴り響き、当店主任が高らかに

宣言したものだから、順番に台鍵を開け、続いて右手に

ハンマー、左手に11.12のゲージ棒を持って、

慎重に淡々と叩いていく。


対象機種は「スーパーコンビ」だ。


店長の誕生日だからって、釘を開けることはないが、

要は「イベント」の一環として景気づけで

「開店〇周年記念」「この機種設置○○日記念」とか、

なんでも勝手に銘打って呼び込みマイクで

煽っていただけだ。

 

いっきにその島に客が集まって、

いっきにその列の売上が上がる。


客の目の前で叩くので、

「あ、ごめん。開けすぎた」と

言って閉め直すわけにはいかない。


11.04~11.08が通常のゲージ幅で、

11.12なら全台15時開店のゲージ幅なので、

予定割数は20割(200%)だ。

当然、赤字収支になる。

 

「しまった。開けすぎた!」

と内心で舌打ちするが、どうもしようもない。


「スーパーコンビ」は入賞しても回転体の入賞口は

/3の確率だったので、

(台の勾配を変え、実質1/5~1/6になっていた)

飛び込みが少々甘くなっても、外れも多く、

まだ扱いやすい。


当時も今も遊技客の前で調整をすることは

認められないが、「瞬間芸」なので、現行犯逮捕はない。

 

先ほどまで2、3千円に1回入るくらいなのに、

調整以降、千円に1,2回飛び込むので、客は熱くなる。

 

しかし、これは禁じ手なので、あまりやり過ぎると、

目の前で開けるまで客が打たなくのは、いうまでもない。




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未来


パチンコで遊ぶのが好きで、業界に入ってくる

子も多いが、全くパチンコをした経験もなく、

給与、待遇面のみで判断して入社してくる子もいる。

 

彼らには閉店後しばらくの期間は

パチンコ・スロットを実際、遊技してもらう

ところから始める。

ゲームの仕方、内容がわからなければ、

処理の仕方を教えても理解できないからだ。

 

不思議なもので金銭が絡んでいないと

不思議とよく当たるものだ。

調整後の試し打ちでも、比較的早く大当たりを

引くことがある。実際、新台時には、

メーカーによっては初期稼働では

当たりやすくなっている時代もあった。

 

当たれば面白いので、休憩中や休日に

他のホールで遊びだし、はまってしまう子もいる。

現実に毎日、多くの客が大当たりを引くのを

目の当たりにして、興味を持ってしまう。

要注意だ。

依存症対策はいまや業界の最重要課題のように

行政から指導されるが、本来なら、入り口の段階で

ギャンブルに対する免疫や対応力を教育機関の中で

教えていく必要があるだろうと感じる。

 

今の義務教育期間に投資・性教育・ギャンブル・

アルコール・麻薬・交通ルールは社会に出る前に

どれくらい「問題意識」として

認識させているのだろう。

 

世の中は誘惑だらけだ。

 

テレビでは美味しそうにお酒が飲まれ、

有名タレントが和気あいあいと馬券を買い、

議員の援交問題でも首にならず、

全国どこに行ってもパチンコ店は存在し、

国は新しい資本主義だと投資を薦める。

 

あちらこちら電柱だらけの狭い道路では

軽車両である自転車が左右入り乱れて走り回り、

相も変わらず「青い性」を商売のアイテムとして

利用している。

 

自分の票を確保するために、カルト集団に

身を売るような政党が、長年この社会を

けん引してきた、怖ろしさ。

それを黙認、支持してきた自覚もない

絶対多数の人々。


当たり前に教えられてきた「民主主義」って、

皆が「幸せ」になる体制ではなかったのだ。


自分の国の若い子たち、子どもたち、女性たちを

大切にしない社会には、もう未来はないね。




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