生活介護施設のお迎えの運転手へ行き出して9か月。
担当する私のコースの利用者たちは今のところ平穏だが、
二つ年上の先輩が担当するコースの利用者たちが毎日、
不穏状態で大変なようだ。
騒ぐ、叫ぶ、たたく、他の利用者にちょっかいを出す大柄な
男性がいて、車内でかなりの影響力を発揮しているようだ。
私はその彼には「ラガーマン」というあだ名をつけていたが、
名の通り体躯は180cm、100kgは超え、停車した車内
から勢いよく飛び出し、鼻息荒く施設へ駆けていく様子を毎日
みると、自分の担当ではなくて良かったと安堵するのだが、
運転中の彼の様子の実態は、わからない。
他に以前にも紹介した「綿棒回しの男」「おはよう兄ちゃん」も
同乗しており、共通して男性陣はみなさん体格がよく、初見で、
目の前で、飛び跳ね、奇声を出されると、引いてしまう。
私は、車内ではシートベルの装着を外さなければ、なんでもOKと
しているが、ベルトを外して動き回れば、運転に支障をきたすので
NGだ。停車して、REDカードだ。この9か月で2度あったが、
すぐに改善してくれたので、問題なしだった。
途中で停車したGPホームのキーパーのおばさん。
何度も、窓ガラスに頭をぶつけている利用者を見て、
「怒りたいこともあるよね、わかる、わかる」
言葉を発せられない彼らの感情の表現は様々だ。
私は黙って、毎日、彼らを安全に送り届けるだけだ。
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