土曜日


「チッチッチッチッチ」

アナログ時計の秒針のような音が聞こえる、

らしい。私の胸から。

 

大動脈の人工弁への置換手術後に退院し、

帰宅してから二人の娘がすぐに気づいた。

同じ部屋の中では、少々距離があっても、

はっきり聞こえるようだ。

 

妻は気づかず、自分には

「ブツ、ブツ、ブツ」と

聞こえるが、機械音は聞き取れない。

 

会社の事務所でも、向かいに座る事務員には

機械音がはっきり聞き取れるようだ。

 

モスキート音のように、30才くらいまでには、

機械音が聞き取れ、40才くらいでは、微妙なようだ。


人工弁が開閉する時に鳴る音で、生きている証だ。


NETFLIXで「クワイエット・プレイス 破られた

沈黙」というSF映画を観た。

 

ある日、宇宙船が墜落し、見知らぬ宇宙生物が地球上に

放たれた。やつらは視力が無く、音のみに反応し殺戮を

繰り返す。人類の大半は殺され、生存者は音を立てずに

生き残っている。なんせ、サブタイトルが

「音を立てたら超即死」だ。

腕時計も身に着けず、靴音が出ないよう裸足で

生活し、手話で意思疎通をしながら生き延びている。

 

この映画、二作あり、ともに90分程度の短編作で

展開、ストーリーには矛盾がいっぱいあるけど

まあまあ、面白かった。

 

胸から「時計の音」がする私は、超即死だけどね。




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金曜日

最近感じること


昭和60年頃までは、パチンコ店舗の2階の寮では

部屋数も少なく、相部屋も多かった。

私が入社した62年以降では、相部屋は嫌われるので

ほとんどが個室になっていたが、トイレ、お風呂は

まだ共同のところも多かった。

 

当時は家族で寮住まいのオーナーもいて、一緒に

食堂で同じ釜の飯を食べていた。

 

パチンコ産業が大きくなるにつれ、経営者にも余裕が

出来たが、それでも店舗の近くに住宅を建てて住む方も

多かった。それだけ経営には熱心だったのだね。

 

まさか、パチンコ産業がこんなに巨大化するとは。

 

店舗数も少なく、ボーリング経営にも手を出していた

会社の中には、明日明後日には店を畳む算段をして

いたオーナーも多く、三共の「フィーバー」が出る前に

廃業された方も多かったようだ。

 

その後、「インベーダーゲーム」などのテレビゲームに

影響されつつ、業界は肥大化していくのだが、といって

新規参入は少なく、限られた経営者の多店舗化が進行して

いって、ダイナム、マルハンのような全国規模の会社が

生まれるとは夢にも思わなかった。

 

新型コロナの影響下の令和の今、パチンコ店舗数は激減して

いるが、今後は業界の衰退、消滅も、杞憂に終わるかもしれない。

限られた大型チェーン店は今も強力な集客力があるようだ。

これからも資金力のある大型店舗に集約され、業界は生き残って

行きそうだ。

パチンコ産業の底辺、すそ野は思いのほか広く、日本社会の中に

娯楽としての位置づけが確かにある。侮ってはいけないね。

 

また、利権のひとつである巨大産業を戦後から続く自民党政権と

官僚たちが、自らの食い扶持を減らすことはないのだね。

 

時代はまわるか。




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日活映画


中学3年生の時、野球部の仲間と阪急塚口駅前の

映画館へ6人で、成人映画を観に行った。

 

「日活ロマンポルノ」だ。

映画のタイトルは忘れた。

 

だが、チケット売り場のおばさんが、

「子供はダメ」と、入場券を売ってくれない。

 

みんなモジモジしながら、売り場の前で

交渉するが、おばさんは頑として受けつけない。

 

キャプテンの「ばんちゃん」が、

18才だと言い張る。

 

「18でもダメ。二十歳になってから」

 

キャプテンの「ばんちゃん」は粘る。

「もうみんな仕事して一人前なんだ」

 

(みんな丸坊主でニキビ面の中坊だが)

 

「どうしても今日は観たい!」

「入れてください!」

「お願いします!!」

最後はみんなで懇願した。

 

おばさんは根負けしたのか、あまりにもしつこいので

「仕方がない、今日は特別よ、早く入って!」

 

15で観た日活ロマンポルノは衝撃だった。

こうやってみんな大人の階段を上っていくのだね。




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