金曜日

未来


パチンコで遊ぶのが好きで、業界に入ってくる

子も多いが、全くパチンコをした経験もなく、

給与、待遇面のみで判断して入社してくる子もいる。

 

彼らには閉店後しばらくの期間は

パチンコ・スロットを実際、遊技してもらう

ところから始める。

ゲームの仕方、内容がわからなければ、

処理の仕方を教えても理解できないからだ。

 

不思議なもので金銭が絡んでいないと

不思議とよく当たるものだ。

調整後の試し打ちでも、比較的早く大当たりを

引くことがある。実際、新台時には、

メーカーによっては初期稼働では

当たりやすくなっている時代もあった。

 

当たれば面白いので、休憩中や休日に

他のホールで遊びだし、はまってしまう子もいる。

現実に毎日、多くの客が大当たりを引くのを

目の当たりにして、興味を持ってしまう。

要注意だ。

依存症対策はいまや業界の最重要課題のように

行政から指導されるが、本来なら、入り口の段階で

ギャンブルに対する免疫や対応力を教育機関の中で

教えていく必要があるだろうと感じる。

 

今の義務教育期間に投資・性教育・ギャンブル・

アルコール・麻薬・交通ルールは社会に出る前に

どれくらい「問題意識」として

認識させているのだろう。

 

世の中は誘惑だらけだ。

 

テレビでは美味しそうにお酒が飲まれ、

有名タレントが和気あいあいと馬券を買い、

議員の援交問題でも首にならず、

全国どこに行ってもパチンコ店は存在し、

国は新しい資本主義だと投資を薦める。

 

あちらこちら電柱だらけの狭い道路では

軽車両である自転車が左右入り乱れて走り回り、

相も変わらず「青い性」を商売のアイテムとして

利用している。

 

自分の票を確保するために、カルト集団に

身を売るような政党が、長年この社会を

けん引してきた、怖ろしさ。

それを黙認、支持してきた自覚もない

絶対多数の人々。


当たり前に教えられてきた「民主主義」って、

皆が「幸せ」になる体制ではなかったのだ。


自分の国の若い子たち、子どもたち、女性たちを

大切にしない社会には、もう未来はないね。




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木曜日

小遣い


K地区では本社の下にテナントを置き、

7階までが駐車場で8回の最上階に本社を置いていた。

Fのテナントは当然「本店」となる。

 

この本社ビルのすぐ近くに社長宅があった。

閉店間際、社長がふらりと本店事務所に顔を出す。

 

「店長、金庫から100万、貸しといてくれるか」

 

いまから市内の花街へ遊びに行くようだ。

「はい。どうぞ」

店長は毎回のことなので、準備している茶封筒にいれ、渡す。

社長は、封筒の口を開け、10枚の万札を店長に、

「こづかいや」

 

本店の歴代の店長は、近所に社長宅もあり、上が本社もあって、

常にプレッシャーにさらされるが、このような恩恵もある。

社長の花街訪問が多い月は、

「こづかい」のほうが本給より多かったようだ。

 

私は違う地区の担当が多かったので

一度もそんな恩恵に当たることがなかった。

数年後、K地区の担当になった時には、

「こづかい」を期待していたのだが、

市内の繁華街の店舗改装中に社長とよく行った

近所の立ち食いそばでは毎回、

「払っといてくれ」

小銭は持たないようで、販売機で飲料を買う時も

「出しといてくれ」

 

昭和の時代は、報奨金として、全店店長を集め、

封筒が立つような現金を配っていたようだが、

私がこの会社に入ったのは平成以降で、

その種の恩恵にはまったく当たらなかった。

 

翌年のお正月、珍しく社長から、その場にいた数名に

お年玉が出た。

ここ数年、会社からのお年玉制度もなくなり、久しぶりだ。

 

うすい・・・・

 

開けると、

千円札が1枚・・・

 

全員で「さすがやな」

だから、こんなに会社が大きくなっているんだよね。 




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火曜日

キムチ


ある時期からホールに冷蔵庫を置き、キムチの販売を

始めたことがあった。社長からの指示だ。

 

大阪地区では端玉の処理が500円切り

(500円は換金、499円は端玉として一般商品と交換)

だった、こともあり499円以下の商品の充実をはかっていた。

 

多くはタバコの交換かペットボトルのお茶や菓子だが、

カウンター嬢は社長からの強い要望があり、

まず、キムチを薦める。

 

当初は珍しいこともあり、よく売れたが、臭いも強く、

毎度キムチの持ち帰りというわけにはいかず、

徐々にフェードアウトしていったが、販売当初より、

社長からのキムチ連絡で辟易してしまった。


「今日はいくつ出た?」

「キムチの反応はどうだ」

「もっと売れるように工夫しなさい」

ひっきりなしに携帯にかかってくる。


パチンコの営業には、めったに電話もかけてこない人が、

キムチの売上にはシビアだった。

 

似たような事例で、当社の系列店でもない店舗に、

その店舗の営業の底上げのため、

夜間、釘の調整を含めて応援に行かされたこともあった。

 

その店舗の社長はまだ若い女社長だったが、

うちの社長の「愛人」と聞いた。

 

今回のキムチ販売会社も同様に、「愛人」のようだ。

 

まったくの公私混同だが、誰も何も言えない。

 

いずれにしても一過性なので、

熱が少し冷めるまで看過するしかない。

しかし、閉店後のホールは、にんにく臭かったなあ。




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