金曜日

名ばかり専務


業界の準大手で仕事していた30代での

ランキング(肩書)は実力、実績がはっきりしていた。

店の成績が給料、肩書に反映していく。

担当する店舗の運廻りもあるし、その時々の

収益力のある機種の有無も大きい。

昨年までの一番店が近くに競合店ができて

急落することもある。

長らくの不振店がある機種の設置がきっかけで

急成長することもある。

 

「運も実力のうち」とはいうが、

たしかに巡り合わせの良し悪しはある。

 

そういう面では、私の30年以上の業界の実績は

順調だった。「運」がよかったのだと思う。

 

40才で入社した会社は創業者の父と息子2人で、

「社長」、「専務」、「常務」のところに

私が新任の「部長」として入った。

 

その後、「専務」「常務」の子息がそれぞれ入社し、

経営陣は「会長」「社長」「副社長」と肩書は変化し、

私はそのままだったが、それは順当だし仕事がしやすかった。

 

それから、ご子息二人はそれぞれ

 「係長」「課長」と順調に昇格し、

 以降は彼らが昇格するたびに

 私も一段階ずつ肩書が変わった。

 社内のヒエラルキーを気にしていたのだろう。


 彼らが「部長」になれば、私は「常務」

 彼らが「常務」になれば、私は「専務」

 しかし次はさすがになく、自ら閉幕した。


 子息が入社時点でこうなるのは分かっていた

ことだが、業界もコロナの影響で衰退時期にあり、

ちょうど良いタイミングだったと思う。


 「名ばかり店長」は社会問題になったが、

私は「名ばかり専務」として

 60歳近くまで仕事をさせて頂いたのだから感謝だ。





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木曜日

パクり


 ホール係が油断していると、よく「釘」をパクられた。

遊技台のガラスを開けて、玉が入りやすいように曲げられて

しまうことだ。一番手っ取り早いのは「ヘソ」の命釘を開け、

よく回しながら出玉も増えていくパターンだ。

何度かあった。

 

現金機の時代は遊技台の鍵はメーカー別ですべて違った。

ガラスのサイズも枠も違い、何度も全メーカー統一の提案も

されたが今も実現されていない。

 

平和、三共、その他有名どころの鍵は

大阪西成などでは普通に露店で売っていた。

こっそり開けるのは簡単だ。

 

従業員の台鍵紛失でよくあるのは、入替作業の時などの

遊技台上部の補給皿への置き忘れ。

私もよくあったが、腰のベルト通しにループをつけたまま帰宅。

すぐ、店舗に報告して謝った。

鍵の紛失は重大事だ。

 

今ではすべての遊技台の情報はコンピューターに集約され、

出玉の異常検知や、不正開錠、カメラの自動追尾など

セキュリティーは大きく向上している。

 

「ホール」も「世の中」も監視社会は確実に進行している。

人の目を盗んでも機械の目からは逃れられない。

 

個人は「恐怖」だが、社会は「安心」だ。



  


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ドンスペ

 

1989年(昭和64年)に豊丸

「ドンスペシャルB」というデジパチ

フィーバー機を1BOX導入設置したことがある。

内容も吟味せず、昼から業者と酒を飲み、

酔った勢いで契約してしまった。

 

1列18台のシマ(島)だったので

合わせて36台だ。

 

この機種、保留玉連チャンの始まりといわれ、

朝いちばんに電源を入れると

かなりの確率で大当たりを引けば自動的に

連チャンしてしまうユーザーにとっては

嬉しい機種だ。

 

後年、パチスロ機でメーカー自ら連チャンを

仕込んだ機種をメーカーBといったが

この「ドンスペ」はまさに

パチンコのメーカーBだった。

 

 

朝一から口コミで客が集まってくる。

 

大当たりは自力で引かなければならないが、

一度当たれば5連、7連、10連はあっという間だ。

もともとの出玉は1300個だが、

当時のフィーバー機はアタッカーまわりの釘を

曲げて引っ張って、無理やり出玉を2400個に

UPさせていた。下手な釘なら3000個以上の

出玉もあった。(これも導入以降、個別に出玉を

数えて調整する)

 

客は「うれしたのし」のドリカム状態だが、

ホールは「こまっちゃうナ」のリンダ状態だ。

 

朝一、一通り連チャンしてしまうとサッと交換して、

それ以降は客が離れてしまう。

 

36台の大量設置だ。

「本当に困った」

 

対策は2つしかない。

閉店後も電源を切らずに行くか、

毎朝、開店前に全36台、すべて手で回し

一度大当たりをかけて連チャンを消化させてから

オープンするかだ。時間がかかって仕方ないが、

毎朝、眠い目をこすりながら、

後者で対応していくことにした。

 

話題の機種ではあったが、クセのある奴ほど

苦労するね。





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